災害と農家

災害があって「農家に打撃!」という報道が流れると、疑問に思うことがある。
農業には保険や共済というものがあって、自然災害で収入が減ると、8割が払出しされる。
これは農家が個別に入るのではなく、市場に卸す団体が入るので、うちの場合はJAが支払っている。(もちろん、その分は手数料として引かれているとは思うが、大勢で分担するので微々たるもの。)
だから、保険加入者であるJAの販売額が今までの平均より2割以上減ると、保険の支払いが行われ、JAを通して個別の農家に「補給金」の名で振込みがされる。JAがネコババしているという噂もあるが、定かではない^^
多くの農家はJAに卸しているので、少なくとも1年目は8割の収入が保証される訳だ。理論上は。
じゃあJA等の団体に属していないところはどうかというと、これは個人として保険に入る必要がある。実は個人で入ったときの保険料がバカにならんくらい高い。作物や加入の仕方にもよるけど、ざっくり言って、月々18万くらいの生活費で生活しながら年間15万くらいの保険料を払う感じ。これは払えない。収入が上がれば保険料も上がるから、個人で入るのはかなりハードルが高いのではないかと思う。ただ、1年に一回しか収穫時期の無い果樹などは、そこが潰れると大打撃なので、入る必要があると思う。
というわけで、まるで災害一発で収入が0円になるかのような報道を聞いていると、保険があることは言っちゃいけないのかなあ、と思ってしまう。みんな「農業はお天道様次第。天気が悪ければ生活できないんだ」みたいに思ってるけど、私はこんなに国に守られてる事業は他に無いのではないかと思っているよ。それでも、世間が思っている「農家は汗水たらして低賃金で働いている可哀想な人たち。災害があれば潰れるしかない」というイメージに沿った報道をしないといけないんだろうなあ。
ただ、高額の機械をローンで買わなければいけないという話は本当。うちは資金があったのと、新規就農者には半額の補助があったのとで、幸いローンを組まずに一括で買えたが、普通はローンを組む。利子は無いけどね。返さなくちゃいけないことに変わりはない。だから、機械を買ってすぐに災害に見舞われたら悲惨。凹むわ。まあ、借金というものはそういうリスクも考慮して考えなくてはいけないんだけどね。あの初期投資だけはどうにかならんかなーと思うわ。資金も補助もなければ、安定するまで中古を買って使うのがいいかもね。
土地がダメになることに関して言えば、自分の持ってる土地だと自分が整備しなくてはいけないから、大変だね。でも、うちのようにリースを利用していれば、土地を返せば良いだけなので、心配無いと思う。他の無事な土地を探して借りればいいだけ。まあ、災害直後は生きてる土地の取り合いになりそうだけど^^
結局、農業力は国力に繋がるので、国は守ろうとすると思うよ。むしろ、一般企業の方が災害で潰れた時に被害が大きいと思うけどなあ。