原作にさせてください

HP訪問者のMさんからまつさんにメールが届きました。よくいる、素人を「先生」呼ばわりする方で、「松筆先生」と書き出していましたので、ああどこかの中坊か年頃の少年が書き慣れた文章を見て感動してメール送って来たんだなと思いました。……思ったんですが、なんかちょっと毛色が違いました。
M氏は最初に松筆先生の存在を知らなかったことを「勉強不足でした」という言葉を添えて謝罪し、作品への感動を綴りました。
>小説の内容に圧倒され、6時間も居座ってしまいました。
>想像を超えた舞台、わかりやすく流れるような文章表現、読後の余韻はこれまで読んだ小説にはない新鮮さが(以下略
個人的な意見としては「読書数足りないかも」と言いたいところなんですが、まつさんが喜んでいるのでまあ良いです。
メールによると、彼はイラストレーターなんだそうです。マンガという表現にも以前から興味は持っていたらしいのですが、彼いわく「物語を創造する力がなく、意味のないキャラクタばかりをいくつも描いてきている状態」なんだそうで、そこが彼の大きな壁になっていると推測されました。しかし、そこに大きな転機が訪れたんだそうです。そう、まつさんの小説と出会ったのです!
>唐突で無礼なご質問なのですが、松筆先生の小説を原作にさせていただくことは可能でしょうか。
(`・ω・')おお!!
なんと原作の申し込みです。彼は謙遜に事実を伝え、マンガを描くことが初めてであること、ちゃんとしたマンガになるかすら不安であることなどをつらつらと述べました。しかし、まつさんの作品をマンガにするという熱き思いは誰にも負けないのでしょう。このように語っていました。
>先生の文字の世界の作品をイラストで置き換える作業は神様が僕にくれた最後の道ではないかと思っています。
まだ若いだろうに、こんなに打ち込んでもらえるとは。でも、これで最後なんて言うんじゃないぞ、努力の積み重ねから結果が生まれるのだから。と励ましの思いが胸の内に込み上げたとき、次の一文が目に飛び込んできました。
>大げさではありません、僕は今年51歳になりました・・・
(・ω・)(・ω・)   ……え。
予想外なところを突かれて、ふたりの時間が止まりました。いや、でも、こう、年齢とか将来性とか、残された時間とか考えてしまうのはなりたくなかった「汚い大人」の図なのかもしれません。そう、成し遂げられるかどうかは他人が決めることではないのです!
>「メイドのお仕事」
>「さらば、ちゃぶ台」
>「飼育日記」
>をはじめとするすべてが僕の描きたい世界の人物たちです。
とりあえず、「範囲広いなオイ」という突っ込みは無しの方向でお願いします。キリないですから。
「なんて返信しよう」とまつさんが迷ってらっしゃったので、「とりあえずイラスト送ってもらえ、イラスト」と勧めて、M氏直筆のイラストを送ってもらうことにしました。もちろん、まつさんの作品をイメージしたイラストです。
51年間の歴史が刻まれたイラスト──。
どんなのが送られてくるのか、どちらかというと期待しては失礼な方への期待が高まってどうしようもありません。ここは静かにM氏からの返信を待とうと思います。